ASES座談会

ASES座談会

関根晨貴

公益社団法人日本防犯設備協会(日防設)事務局長

武富正隆

公益社団法人日本防犯設備協会(日防設)総合防犯設備士委員会委員長、ASES会長・総務部会部会長

平野富義

NPO法人大阪府防犯設備士協会(大防設)理事長、(日防設)防犯設備士委員会委員長、ASES副会長・事業部会部会長

島村一郎

NPO法人東京都セキュリティ促進協力会(東セ協)理事、ASES副会長・総務部会副部会長

櫻井兼二

NPO法人東京都セキュリティ促進協力会(東セ協)副理事長、ASES理事・事業部会副部会長

山崎泰廣

NPO法人東京都セキュリティ促進協力会(東セ協)会員、ASES理事・事業部会副部会長

永井健三

NPO法人広島県生活安全防犯協会(広防協)副理事長、ASES理事・広報部会部会長

高尾祐之

NPO法人東京都セキュリティ促進協力会(東セ協)理事、ASES理事・広報部会副部会長

塩谷信子

NPO法人神奈川県防犯設備士協会(神防設)理事、ASES会員

平野孝昭

NPO法人神奈川県防犯設備士協会(神防設)会員、ASES会員

三宅勇雄

NPO法人東京都セキュリティ促進協力会(東セ協)理事、ASES会員

ASESと語る総合防犯設備士

総合防犯士会(ASES)は、平成21年に公益社団法人日本防犯設備協会(以下日防設という)認定【総合防犯設備士】有志140名で立ち上げ、今年創設4年目を迎える。
社会が全般的に変化しているなか、総合防犯士会(ASES)も具体的な動きをしていくべき時期を迎えた。この3月の日本経済新聞社主催「セキュリティショー」(3月6日~9日)では、昨年まで日防設が運営していたブースを、総合防犯士会(ASES)が引き継ぐことになった。【防犯相談コーナー】は、(ASES)総合防犯士会が協力、日防設が後援として運営する。
防犯設備士、総合防犯設備士という資格の知名度は、未だに必ずしも高くない。むしろ、社会一般的には知らない人の方が多い。知名度を上げるには、有資格者ひとりひとりの、なお一層の努力が必要なのは明らか。資格試験に合格したからといって、何かを与えられることはない。総合防犯士会(ASES)に入会したからといって、何かが手に入るわけでもない。
要は、有資格者ひとりひとりが、もっと社会の役に立つこと。世の中から認められるために、皆が日々、地道な努力を続けていくことが必要だ。
防犯設備士、総合防犯設備士という資格は、これからどういう方向へ向かうのか。総合防犯士会(ASES)は、どういう方向を目指しているのか。日防設会議室において意見交換を行った。

日防設内での議論

冒頭、関根事務局長より、有資格者の現状と日防設内での最近の議論内容を報告。

関根 今現在、防犯設備士は登録者数2万2000名を超えています。また、総合防犯設備士は322名。当初の予定より人数の伸びは鈍っていますが、確実に増えてきていると考えています。
総合防犯設備士の皆さまは、それぞれの仕事や地域活動においてご活躍されているわけですが、防犯設備士2万2000人が有機的に、有効的に活動していただくために、また有資格者のスキルアップを図っていくために総合防犯設備士さんに協力いただけないかと期待しております。日防設の各委員会でも、総合防犯設備士が防犯設備士の教育や防犯設備士の資格更新に係わっていただけないかという話が出てきております。実現に向けては、総合防犯設備士のひとつの役割としてお願いをしていく方向で考えられています。

努力の実例

島村 いろいろなところでいろいろな人が努力されている。そのことで、知名度が上がってきている実例があります。役所の仕様書で『防犯設備士を使いなさい』ということが書かれている実例を目にしました。東京では、警視庁関連施設の一部において施工業者登録の際、『資格等記入欄に防犯設備士名を記入しなさい』という指導を受けました。あるいは、足立区の工事仕様書には防犯設備士、または総合防犯設備士が施工、試験調整、定期点検を行うことなどが記載されています。このように、皆さんの努力が実ってきていると思います。これからが期待できますね。

有資格者の一致団結

永井 理想を言いますと、この資格を持っていれば、何もしなくても飯が食える状況でしょう。しかし、現実は違います。そういうことを夢見ている人もいたのではないかと思いますが、現状は違うんだということを踏まえて話を進めていかなくてはいけないと思います。すなわち、私たちに出来ることは何なのだと。与えられるということは少ないのだという風に思い込まなければいけないと思います。
ここにおられない方で不平を言われる方がいらっしゃいます。そのような方は、与えられたいと思っているのだと思います。総合防犯設備士に合格したら何か与えられるんだ。ASESに入会すれば何か与えられるんだということを思われている傾向があると思います。
与えられることばかり期待して、自分たち個々人が努力をするということが欠けていると思います。現実的に、無い物ねだりしてもしょうがないわけで、みんなが一致団結して、それぞれに出来ることからやっていかなくてはいけない。そういう時期に突入しているんだと思います。

目に見える形での活動

関根 ひとりひとりではなく、防犯設備士、総合防犯設備士が全体の力で盛り上げていくというのがいいのかなと思います。総合防犯士会(ASES)の発足にあたっては、有資格者同士が情報を共有し、レベルアップしていこうというのが目的のひとつでした。個人個人よりもある程度結集して、目に見える形での活動がいいのではないかと思います。

行政とタイアップ

三宅 私の所属する東セ協では、総合防犯設備士が約30名います。私の会社では3名いますが、今のところこの資格を持っているから特別に何かがあるわけではありません。これからを考えますと、防犯設備士、総合防犯設備士でなければ出来ない仕事というのが世の中にあればいいなという思いはあります。
例えば、地域の条例で、防犯設備、防犯対策の構築には総合防犯設備士が必ず絡むとか、警察関係の有資格者が火付け役となり行政とからむという流れがでてくると、有資格者も資格を取ってよかったとなるでしょう。
話は少し変わりますが、東セ協会員でも総合防犯設備士の資格試験にチャレンジしていますが、なかなかハードルは高いようですね。昨年は東セ協から1名の合格者がでました。

具体的な実績づくり

山崎 最近の傾向からすると、防犯設備士、総合防犯設備士とも数が急激に増えることはなさそうです。2万2000人と300人では、数が少なすぎて世の中に認知されるのは難しいと思います。
防犯設備士から意欲のある方を総合防犯設備士に組み入れるような制度改革も必要ではないでしょうか。
数を増やす努力よりも質を高める努力をすべきだと思います。私たちひとりひとりがやれる仕事をやっていく。始まったばかりのASESの活動を2~3年はしゃにむにやってみるのがいいのかなと思います。いろんな機会をとらえ、年数回の展示会などに出て、実績をつくっていくしかないように思います。

世間を見据える必要がある

社団法人全国警備業協会では、セキュリティ・プランナー資格制度が始まっている。日防設の防犯設備士資格制度との関係について、個人的な意見をうかがった。

山崎 警備業界は、およそ45万人。昨年、基礎づくりが終わったのでこれから全国展開が始まると思います。そうすると、すぐに5万人くらいは資格取得者がでてくると思います。年間16時間の教育の組織を持っているし、場所も持っているからあっという間に広がっていくと思います。
防犯設備士、総合防犯設備士とセキュリティ・プランナーは、どこが違うのか、世間一般には分かりづらいと思います。むしろ、違いが分らないでしょう。世間から見れば、どうなっているのという風になりかねないと思います。早い時期にお互いに連携だとか意見調整をして、世間一般から見てわかりやすい警備の世界、防犯の世界を構築すべきだと思います。
素人が分りやすいようにするべきでしょう。

資格の相互連携

武富 日防設のある委員会では、総合防犯設備士の資格試験は難しい。だから何か別の資格を持っている人は、例えば科目免除をするというようなことが話題になっています。セキュリティ・プランナーとの関係でも相互乗り入れということは考えられるのではないかと思います。

平野富義 昨年は未曽有の大災害が発生しましたが、総合防犯設備士は防災のことも勉強する必要があると思います。防災士という資格があります。以前、防災士有資格者と話をしたときに、私たちが各警察との信頼関係で地域協会とともに活動していることがうらやましいという話がでました。総合防犯設備士は、幅広く知識を吸収するうえで防災士の資格取得にも努めるべきだという気がしています。

関根 日防設としての今後のテーマですが、同じような資格を認定している他団体との協力関係について十分に検討すべきだと考えています。

知名度を上げる

武富 当初からあった国家資格化の話が実現しそうにないなかで、期待外れを感じている人も多いと思います。資格取得のメリットがないということで受験者が減っていることも考えられます。防犯設備士、総合防犯設備士が防犯に関する監査や審査にたずさわるように、地方自治体の条例に組み入れていただくよう働きかけることも重要なことだと思います。

永井 条例というとハードルが高いように思います。それよりは、窓口で、仕様書や図面作りのお手伝いをさせていただく努力をするほうがいいのではないかと思います。2万2000人の1割や2割は、そんなことをやっている人がいると思います。根気よくそれらをやって知名度を上げていく必要があります。知名度が低すぎます。警察官でさえ知らないということもあります。ですから、一般にはまったく知られていないと考えるべきでしょう。少なくとも、建築関係の人であるとか、防犯を考えられている人には、積極的に資格名を出していく努力を皆でやっていくことが必要です。

個人資格の個人差

櫻井 個人資格と許認可の話をわける必要があります。この資格を持っていなければこの仕事は出来ないというのは許認可の話です。防犯設備士、総合防犯設備士は、個人資格です。
たまたまですが、私の知り合いに歯科医師の資格を持っている人がいますが、今、失業中です。また、一級建築士を持っている人で、豆腐屋さんをしている人がいます。今後はこれらの資格保持者でさえ、失業者が続出するのではないかという読みもあります。
防犯というカテゴリーに軸足をおいている防犯設備士というより、防犯という概念が皆さんが話されているようなことになっているのかなと思います。個人資格の限界点を考えますと、何を求めていくのか。許認可を求めていくのであればそれはそれで面白いと思います。ただ、国家資格を目指そうというのは、動きが少し違うのではないかと思います。
個人資格として何ができるんだということ。要は、資格を持っている人が、どういうものの見方でその資格を行使していくかにかかっていると思います。

平野孝昭 私の会社は、警備会社の仕事が多いです。現場の話ですが、お客さんのニーズに答えるため、現場に関わる人たちのレベルアップの努力をしています。私自身も総合防犯設備士は、スキルアップ目的で受験し取得しました。実際、資格の知名度は低いと感じます。資格の説明からはじめなければいけない場面が多々あります。知名度アップのため、自分なりにできることはやっていこうと思っています。
一方で、防犯設備の設計図面の作成や打合せで、建築設計事務所や行政の方たちに認めてもらっている部分もあります。身近なところでは、防犯設備士という資格が信頼されていると感じることがあります。

警察、行政の温度差

塩谷 総合防犯設備士の資格取得後、早いもので5年になります。来年、更新です。神奈川の地域協会、神防設に所属しています。どこでもそうだと思うのですが、入会の時は何かを求めてきます。しかし、何もないことがわかると、だんだん参加者が限られてくるような気がします。
防犯設備士と総合防犯設備士の違いは何だろうと考えますと、会社で半ば強制的に取りなさいと言われ取得するのが防犯設備士で、総合防犯設備士の方は個人の意思で取得しようという自主性があり、おうおうにして意欲の違いを感じさせられます。
防犯優良マンション認定の調査や審査は、建築士と防犯設備士がセットで行うことが記載されているようです。セキュリティ・アパート認定の調査、審査なども防犯設備士有資格者が行うことを条件とするというようなことを明確化していただき、地域協会で有資格者がもっと活躍していただけるような環境にしていきたいたいと思います。
福岡県でのセキュリティ・アパート認定制度は、福岡県防犯設備士協会が基準を作成し、福岡県警が後援して推進しています。認定のプレートにも、福岡県警後援と書かれています。セキュリティ・アパートは、3階までの低層階のアパートが対象です。新築、既設は問いません。神防設は今後広めようとしています。私も福岡へ行き、現状を見学させていただき大変勉強になりました。

関根 福岡では、福岡県警が全面的にバックアップしていますね。

塩谷 福岡県と同じように、神奈川でも、県警の後援がほしいのですが、難しそうです。福岡に行った時に感じたのですが、神防設単独で動いても普及させるのは難しいだろうと思います。行政とタイアップしなければ話を聞いてもらえないだろうと思います。できれば、神奈川県警後援というバックボーンがほしいですね。
神奈川県警には、各所轄に一名ずつ「防犯アドバイザー」という担当者をおいています。また「生活安全サポート」という制度も導入しています。このあたりに難しさがあるのかなと思います。

平野富義 大阪では、戸建住宅の認定制度を行っています。大阪府警がバックアップしています。認定は大防設。大手プレハブメーカー6社が参加してくれています。警察の協力がなければなかなか普及しないでしょう。

塩谷 ハウスメーカーも警察のバックアップがあるから協力してくれるのだと思います。

平野富義 警察毎の温度差がありますね。

関根 警察と地域協会との関係については、日防設から各県警にフォローをし、地域協会の活動をバックアップする必要があると認識しています。

ASESだから出来ること

平野富義 ASESでなければ出来ないこと。ASESだから出来ること。私たちの生きていく道は、これにつきると思います。その為には、勉強しておかないといけない。社会に要求されるようなことを勉強し、常にグレードアップしていかなくてはいけないと思います。
総合防犯設備士でも、オールマイティは難しい。それぞれが得意分野を明確にし、登録制にすることをやるべきでしょう。講演依頼も同じです。得意分野のリストを作っておく必要があると思います。世間一般の人が、この問題は誰に相談すればいいのかということを分りやすくする工夫が必要でしょう。

セキュリティショー

武富 今年のセキュリティショー(3月6日~9日:東京ビッグサイト)は、日防設が出展されないということで、防犯相談コーナーをASESが運営協力することになりました。ASES、地域協会、日防設、それに防犯設備士、総合防犯設備士の知名度を上げる良い機会だと思います。
3月8日には、ASES(総合防犯士会)の総会も例年通り開催します。

更新講習講師

武富 今後は積極的に日防設の事業にも関わっていきたいと思います。そのひとつが、防犯設備士の更新講習の講師養成、派遣です。まだ決定事項ではありませんが、日防設では、2~3年後には防犯設備士資格更新講習をスタートさせる計画があります。その講師として適格者をASESから輩出したいと思っています。

地域協会

平野富義 現在、36の都道府県に地域協会があります。11の県にはまだ地域協会がありません。無いところの防犯活動や警察との関係づくり、地域協会の立ち上げのお手伝いをASESが行うということも考えていかなければいけないと思います。

関根 今年、熊本県で、総合防犯設備士さんのご尽力もあり協会が設立されます。ぜひ、他県においてもASES及び総合防犯設備士の皆さん、積極的にご協力お願いします。

語らいの場から「活動の場」へ

永井 働く場を創出するということで、例えば内向きな話として、更新講習を総合防犯設備士が行うということの話がでました。
ASESも4年目を迎え、語るのは一生懸命語ってきたと思います。そろそろこういう方向で行こうじゃないかという具体的な形を作っていかなくてはいけない時期にきていると思います。語り合って終わってはいけない。具体的なプロジェクトや委員会を作ってアクションを起こさなくてはいけないと思います。現実的にかみくだいた活動をしていかなければ、いつまでも語らいの場で終わってしまいます。

地域協会をサポート

櫻井 ASESとしてどうしようという考え、動きも大事ですが、地域協会の活動をサポートするということもいいのではないかと思います。地域協会の具体的な問題、抱えている課題をASESとしてサポートする。そこには出来ることと出来ないことがはっきりすると思います。地域協会に聞いてみることでASESとの関係も具体的になるのかなと思います。

防犯指導者として

島村 昨年はASESも事業展開をし、それなりの効果を上げています。活動についてはよく頑張ったと思います。3月のセキュリティショーは世間からの注目度も高いですし、防犯設備士という資格名称が露出されるいいチャンスだと思います。
例えば、コンビニなどには「防犯責任者」というものがあります。防犯設備士、総合防犯設備士がこの「防犯責任者」を指導する立場、指導者としてお手伝いできるような動きをするということも考えられます。コンビニに限らず、具体的な活動として研究チームを作ることも考えられます。

平野富義 コンビニは全国におよそ4万店舗あります。

建築士と同等の報酬

櫻井 東セ協は、いろいろな活動をしています。例えば、防犯アドバイザー派遣制度というのがあります。中央区、港区などに対して、防犯診断を行うのですが、防犯設備士有資格者という条件が付いています。これはすばらしいことだと思います。
防犯優良マンションの調査、審査の報酬は、一級建築士と同等という形にしています。防犯診断についても報酬を決めています。近年、防犯診断の依頼が多くなってきています。ただし、動いてくれる人がいない、限られた人しか動いてくれないということが危惧されています

平野富義 大阪では大防設が防犯設備アドバイザーを派遣しています。大阪府警が大防設に依頼してくるのですが、防犯診断は無償、ボランティアで行っています。
地域の温度差を感じますね。

山崎 東京都のなかでも、例えば千代田区なんかは中央区、港区とは少し考え方が違うようです。

資格保持者の個人差

関根 防犯設備士資格を持っているからといって、現実として防犯診断ができるわけではありません。資格保持者にも個人差がありますので、資格を取った後のフォローアップ講習等を、システム的に、制度的に考えていく必要がありそうです。
東セ協や大防設では、防犯アドバイザー資格講習を独自にやられています。防犯診断などが出来る基準作りも考えていかなければいけないでしょう。

「具体的な活動」へ

武富 今後ASESは、委員会やプロジェクトチームを立ち上げ、具体的な活動を推進していくことにします。そして、国民の皆さまの要求、期待に答えられるよう皆で努力していきたいと思います。
本日話題に上がりました今後のASESの具体的な活動を整理してみます。
1.2012セキュリティショー「防犯相談コーナー」運営に関すること。
2.防犯設備士更新講習講師養成等準備に関すること。
3.防犯責任者・防犯指導者に関する調査研究。
4.地域関連協会サポート連携に関すること。
5.会員の得意分野登録リスト作成に関すること。

ASESが「語らいの場」から「具体的な活動」へシフトを変えようとしています。
座談会参加者の熱い思いが具体的な活動の原動力となることを願うとともに、全国の防犯設備士、総合防犯設備士のなお一層の活躍を期待したいと思います。
(座談会記事編集寄稿)ASES広報部会副部会長 高尾祐之

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